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一極集中から2極多軸社会への方向転換
社会の方向転換;

戦後日本の奇跡的な経済発展は、個々の企業がグループを形成し、業界団体等をとおして国家とともに「一つの密なシステム」を構成したことにより成就されたと考えられます。その大成功していたシステムが世界環境の変化により急速に力をなくしています。そこにブレークをもたらすには、現在表出している問題を個別的に現行システムの中で処理するのではなく、そのような問題を創出している現行シスエムをどう変えればよいのかという、システム転換の視点に立って我々各自が考える必要があります。それをするにあたって、

  • 現状のシステムをどう認識するのか
  • 将来のシステムをどう定義するのか
  • 2. に向って現状何をするのか

を各自の立場でモデル化して持っておき、それをレファレンスとして仮説検証しながら事に当たることが有効ではないかと考えます。図1はそのときの社会全体が向いそうな変革モデルを例として示したものです。

fig1

この図の中で;

  • 赤い丸は現在の在りかた(一極集中モデル)
  • 右のブルーの丸は新しく芽生えている将来の在りかた
  • 中間にある紫の楕円は将来のあり方に向けて現在なすべきか

を示しています。図1は世界全体を揺るがしているような大きな環境変化の中では、国を考える上でも、個別ビジネスを考える上でも、世界情勢を考える上でも入れ子構造となって、共通に使えると思うので、立場と事情に即して(1)-(3)を埋め込んで使う時の構造をテンプレートとしてつくったものです。

一軸社会から二軸社会へ;

図1のモデルで作られる個人とか企業とかの個々の流れは、それが集まったときどのようなパラダイム(全体像)となるのでしょうか。それを考える時、既存のシステムをすてて新しいシステムへ移行すると考えると社会革命となってしまうので、現行の一軸システムに新たな軸が追加され、ニ軸の織り成すバランスの上で今後の社会が展開するとすると考えるのが良いと考えます。一軸システムと二軸システムでは社会構築の視点が全く違うので、思考上はパラダイム転換が必要です。しかし我々の日常的な実態としては新たな軸の追加ということになります。
現行の一極集中型一軸システムには新たに付け加えられた軸を抱擁すべく変更が必要です。そのためには現行の密結合された機能のアンバンドルと、新たな視点からの再バンドリングが必要になります。情報産業でいえば、ガースナー氏がIBMでそれを見事にやった典型的な例だと思います(ガースナー著、巨象も踊る)。二軸の視点で物を見るとき、立場によっていろいろな対抗軸が実際には存在します。たとえば;

・国民主権  vs   個人の主権
・効率性  vs   多様性
・囲込み  vs   外部連携
・デファクト  vs   公開インタフェース
・大企業  vs   小企業
・権威  vs   草の根
・都会  vs   地方

のような感じです。このような対抗軸を見ると、片方(上では右側)は現行のシステムでは切り捨てられてきたり、サブカルチャーとして周辺に追いやられてきた部分です。ロングテールの話にもあるように、現在のITインフラ技術はそのように今まで切り捨てられてきたものをまとめて一つの独立した新しい軸の勢力にするツールとしても存在します。
 社会システムは国民が共有する意識が日常の行動として表出してつくられます。戦後の日本は「欧米から技術を輸入し、良いものを安く製造して輸出し、外貨を稼いで製造立国になる」というシナリオを共有意識として、それに都合のよい現行の一極集中一軸社会システムを作ってきました。それを新しい社会システムに方向を変えるには、その方向へ向って我々の意識がまとまる必要がありますが、民主国家としてはその時、強制されることなく、我々が自発的に喜んで受け入れられるような方向でなければその様な社会へ向けての流れは醸成されません。その様な流れを感知した個人や個々の組織が新しい流れを感知し、それにそって運営をし、それがみなに受け入れらることにより、全体の流れに統合されると考えられます。その時の新しいパラダイムでの社会モデルの仮説として描いたものが図2です。

fig2

二軸モデルが育む多様性ある社会

社会全体が安定した二軸空間を持つためには、社会を構成する個人がが同じような入れ子の構造で二軸モデル志向でなりたっていることが必要です。実は二軸というのは個人にとって極めて自然な状態なのだ思われます。僕等は我々は家庭においても職場においても;

  • 死か生か
  • お金か人情か
  • 現場か社長か
  • 都市か地方か
  • 自分か相手か
  • 全体のためか個人の自由か
  • 家庭か会社か
  • 効率か人間性か

等々いろいろな2極の間で悩みながら日常を過ごしています。人は各々違う2極郡を持っています。また同じ人でも時と場合によってそれを使い分けています。しかし今までの効率重視の社会では、中央に向った縦型のコミュニケーションを軸に個人が組織に従属する形となり、価値観が均一に強制され、社会の多様性が失われ、創造力が失われてきました。インターネトが可能にする横のコミュニケーションは、そのように弱くなってきた個人側に力をつける道具としての意味ももちます。個人の中で今まで諦めていた部分が社会的に復活できる時代となったのです。今まで無視されてきた個人側の感情が、時と場合に合わせていろいろな人と連なって社会の流れとしてでてきました。その連なり方も又めちゃくちゃな形が可能で、いろいろな価値観でのつながりが存在し、全体としては多極の様相を呈します(どうもそういうのを複雑系というらしいです)。その様相をざっくり言えば、今までの社会軸(都会人間・会社人間の軸)のみを中心にしていた社会に、コミュニティー(家庭や地方)軸が力をつけて存在しだし、社会軸とコミュニティー軸の2極のバランスの上に成り立つ社会、これがこれからの社会になるのだと思います。1極モデルは価値観が統一される運命にありますが、2極モデルはその連なりかたがいくらでもでてくるので、多様な社会を作ることになります。その時スモールワールドとかロングテールというような概念が重要な役割をはたしてくる事のようです。もともと生命体の構造は、そんな風に多極軸の連なりによって今までの何億年もの環境変化を乗り越えてきたという事らしく、人間にとっても自然なモデルであり、したがって多くの人にサポートされることにより将来への流れになるのだと考えます。

fig3

図3は、Industry Solution と Community Solution の循環の違いを図にしたものです。Industry Solutionは社会全体のボトルネックが供給不足にあるときに、産業軸がうまくゆけば生活軸のコミュニティーもその恩恵にあずかる、というモデルによって、直接的に産業を利するための政策循環。Community Solution は需要と供給が逆転したときに社会の多様性をもとめてCommunityを直接的に念頭に置いた政策循環です。

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